AnalysisAnalysis / LendingMemo

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「物事の実態・本質を正しく理解するための作業」の総称
意思決定のための「分析の技術」

そして分析は4つの基本要素から構成されている。

分析の基本は「大きさを考える」、「分けて考える」、「比較して考える」、「時系列で考える」の四つである。
意思決定のための「分析の技術」

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上記を踏まえて分析をWhy型とIssue型の2種類と定義する。

  • 事象の「大きさ」を把握しさまざまな切り口で「分割」し分割対象を「比較」し「時系列」に並べ総合的に検討し事象の実態・本質を理解する一連の作業(Why型)
  • 対象となる「課題」の「大きさ」を把握しさまざまな切り口で「分割」し分割対象を「比較」し「時系列」に並べ総合的に検討し「課題」の原因および解決策を立案する一連の作業(Issue型)

以下、 基本要素である「大きさ」「分割」「比較」「時系列」を解説してゆく。

大きさを考える

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オーダー・オブ・マグニチュード

大きさを論ずるうえで鍵となる考え方に「大きさの程度」(オーダー・オブ・マグニチュード)という言葉がある。何事によらず、内部論理の緻密さや形式的な整合性を論ずる前に、全体としての大きさの程度、施策の利きの程度を大まかに把握して、まず重要度の判定をし、そのうえで重要度の順に応じて、あるいは大きなところのみ手をつける、と言う考え方である。
意思決定のための「分析の技術」

80対20の法則

売れ筋の上位20品目が全売上高の約80%を占めるので計画を立てたり施策を打ったりする際には、まず上位20品目に注目して検討する。あるいは、上位20品目とその他の80品目の取り扱いのルール(在庫・欠品管理等)を変えることが必要/有効であると言う考え方。2対6対2の法則(上位20品目、中位20品目、下位20品目)と言う考えもある。いずれにしても大きなところから考え、手をつけるという考え方のひとつ。

感度分析

「感度(Sensitivity)」とは、ある行為が、結果として全体に対してどれほどの影響を持つかという「程度」のことを指す。 何事によらず、ある目的を持っていくつかの選択肢を検討する際には、全体像を示し、そのなかでのそれぞれの選択肢の感度=影響度の大きさを位置づけたうえで作業にとりかかろうという考え方のひとつ

クリティカル・マス

大きさを考えるうえでいま一つ覚えておくべき用語として、「クリティカル・マス(Critical Mass)」という概念がある。成果を上げるためにある一定量を超える資源投入が必要な場合、その必要量をクリティカル・マスと呼ぶ。クリティカル・マスに満たない不十分な努力や資源の投入は、結果が期待できない無駄な投資となる。

分けて考える

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分けて考えるための基本原則

「分ける」際の鉄則は、「MECEに分ける」ことである。それが、具体的には困難な場合でも、なるべくMECEに考えよういう基本姿勢を崩してはならない。
意思決定のための「分析の技術」 P33

MECE(ミースィー)とは

Mutually=要素が互いに

Exclusive=重複がなく(原意:排除し合っていて)

Collectively=集めると

Exhaustive=全体を尽くす

の四つの単語の頭文字をとった略語

一つのものを二つ以上に「分ける」際、分けられた要素を互いにダブりなく合計すればモレなくもとの一つに戻るという考え方

MECEにする際には以下の2点を意識する必要がある。

  • 四則演算のうち、足し算、引き算、掛け算をしっかり意識すること
  • 切り口の 軸を明確にすること

足し算

売上高を例にとると、一店一店の売上高の合計、あるいは全国市場の場合、各県別売上高の合計なのでそれら一つ一つの合計はMECEである。さらに対象を大きく地方別に分けるもしくは大都市圏、中小都市圏、群部のように分けることもできる。そのうちの大都市圏をさらに都心部と郊外部に分けていくこともできる。その分け方が、全体を尽くし(Collectively Exhaustive)かつ重複がない(Mutually Exclusive)かどうかが大切。

掛け算

合計の数字を掛け算の関係で表すことができないか考える。 店舗全体の売上高でいえば[売上高=店舗数×一店舗あたり売上]と表現できる。 つまり総量を掛け算で表せる場合、掛け算の両方の因子は、互いに重複のない別次元のもの(Mutually Exclusive)であり、かつ掛け算の結果がすべてを尽くしている(Collectively Exhaustive)という関係が成り立つ。

切り口の軸を明確にする

MECEに考えるうえで切り口の軸を明確に意識し、その軸の上で全体の100%をカバーできるかを考えることが大切。この「分け方の軸・分ける際のルールをはっきりと自覚する」ことは、あらゆる「分ける」際の基本用件と言える。

マネジメント・インプリケーションを考えて分ける

MECEに分けたからといってその結果が有効な打ち手につながらなければ「分け方がよくない」ということになる。とくにIssue型の分析においては解決策として有効な「マネジメント・インプリケーション」の発見に役立つ「分け方の工夫」が必要になってくる。

全体を把握して検討対象の位置づけを考える

一つの事象を検討するにあたって、その検討対象自体が「どれほど重要で、どのような意義を待つのか」を、客観的に捕らえる必要がある。「全体像を考える」ということは、「分けて考える」ことの裏返しであり、本質的には同じもの、分析の基本である。

多元の要素を考える

タテとヨコに分ける

分けるための指標を一つにしないで、それら多元的要所のなかからもっとも重要かつ効果的と思われる二つの指標(分け方の基準軸)を同時に取り出して、その二つを組み合わせて複合的に分けて考える。要するにマトリクスにしてみるということ。

多元要素の分析

分けて考えるために必要な指標・軸が二軸以上の多元になった場合のアプローチとして

  1. 一分野に絞込み、そのなかで二元の要素を考える
  2. 二元分析の上に三元目の指標を乗せる
  3. 割り算をする
  4. 多数の要素をより大きな二軸に集約して考える
  5. 多元回帰などの数学的処理法を用いる

一分野に絞込み、そのなかで二元の要素を考える

まず、全体を粗分析で整理して、本格的な分析の対象とすべき分野を全体のなかでしっかりと位置づけたうえで、あらためてその分野を対象に二元分析その他の手法を駆使して深く掘り下げればよい。 要するにマクロで全体をとらえ重要分野を絞り、その中で要素に分けることによってミクロの視点で検討を進めていけるのである。マクロの視点からミクロの部分に絞って分析を進める手法を身につければ、原則的にはどのような複雑な問題も対処可能なはずである。

二元分析の上に三元目の指標を乗せる

すでにできている二元分析の図表の上に、三元目の指標をのせることで表現できる。

多数の要素をより大きな二軸に集約して考える

解析と総合判断を交え、結果として二元に集約して分析する。

比較して考える

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英語で「分析する」に相当する用語はAnalyze(分解する、解析する、批判的に調べる。名詞形はAnalysis)である。そしてこれと似た用語にAnalogy(類似、類推、比較)がある。語源がどのような関係にあるかは知らないが、われわれが現象を理解するための主要な手段として、「比較する」「比較して類似や差異を考えて推論する」ことは、「分ける」こととともにもっとも基本的な分析の手法である。
意思決定のための「分析の技術」 P56

比較のための基本姿勢

アップル・ツー・アップルを考える

比較をする際のまず第一の要件は、「意味がある比較ができるか否か」である。同じリンゴ同士なら大きさ・色・形・味などを対等な条件で比較し、優劣をつけられようが、リンゴとミカンを比較しても意味がない。英語では、それはアップル・ツー・オレンジだから比較できない、と言う表現をする。

比較をする際には

  1. できるだけ同じ物を比較すること
  2. 異なるものを比較するときは、意味がありかつ比較できる指標を探すこと
  3. 似たもの同士を比較する場合も、同じ要素と異なる要素を正しく見分け、異なる部分の影響を勘案しつつ合理的な比較を心がけること

の三点が肝心である。

要するに、比較をする際には、「目的に応じ」「適切な枠組みを工夫して」「できるだけアップル・ツー・アップル」で比較することが大切。

変化/時系列を考える

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現在の状況というものは、いきなりそこに現出したものではない。現在は過去のいろいろな経過を経て、生まれたものである。したがって、「現在」を正しく理解するためには、現在の状況だけをいくらくわしく分析しても不十分であり、なぜ現在の状況がそこにあるのかを「過去との関連」において見極めることが必要になる。
意思決定のための「分析の技術」 P88

戦略を自覚する

現在がある以上、それをもたらした過去の「明示されていないが含蓄・包含されている」戦略(インプリシット・ストラテジー)が存在するはずである。その インプリシット・ストラテジーを自覚することが大事。その取り組みとしては業務の流れと製品・市場からなるマトリックスをつくり、それぞれのマスごとにどのような資源(人・設備・資金等)が配分され、どう活動されているかを見ていく。

また、全社の分野別資源投入の状況を把握・検討するだけではなく、この「歴史をさかのぼる」手法は、個々の商品・事業分野ごとのインプリシット・ストラテジーの検討に用いることもできる。

大きな流れ/変化を読む

2つの軸を時系列に並べ比較することで長期的なトレンドを見る。トレンドを見る際には、場合により、基点の見方、期間の定め方が正しい判断のためには決定的に重要となる場合があるので注意すること。 季節変動など一定の外的与件による変動要素があらかじめ想定できる場合には、その要素も加味・修正して読む必要がある。数字で見るよりはグラフ化して視覚に訴えるほうが直感・総合能力を生かす上ではるかに有効である。

繰り返し現れる変化のパターンを読む

過去の経験則に学ぶ/繰り返し現れるパターンを考える際には、その現象そのものはヒントにすぎず、その背景にどのような理由、根拠があるのか、そして今回も繰り返されるのかを検討する必要がある。 実体経済においても波動の繰り返しがあることは認められているがやはり今回も繰り返されるかその根拠を追求していく必要がある。その際、在庫水準や機械受注といった景気に先行する指標、百貨店売上高や有効求人倍率などの同時指標、家計消費支出や完全失業率などの遅行指標といった諸指標と実体経済の動きを総合的に判断することで「パターンの繰り返し、変動の法則性」といったものにより合理性を持たせることができる。

変曲点に着目し、兆候を読み取る

時系列の傾向・全体の流れを追いつつも、そこにどのような変化が起こりつつあるのかを敏感に読み取る工夫・努力が必要である。そのためには絶対量とその変化に注目すると同時に、変曲点、あるいは微分で考えた場合の変化率に着目し、その意味を常に考える/要因を説明をする習慣をつけておくことが大切。その説明のためには総体ではなく、その中味に立ち入って考えることが必要である。

「比較する」、「分けて考える」と併用して総合判断をする

比較して考える際、比較の対象は同じ種類のものであるから、自動的に「アップル・ツー・アップル」の原則にかなっていることになる。よって、時系列を考えることは、必然的に「比較して考える」考え方を含むものであるが、そこに「分けて考える」考え方を組み合わせることにより、より根幹の要素に迫り、総合的に考えることができれば、さらに有意義な分析ができる。

参考文献